Last Modified 20/09/08

☆カスピ海ヨーグルトの「菌の検査結果」

 

 

 


2003/02/08追記:グルコノベクター菌ではなくてアセトバクター菌
以下の調査でご協力くださいました、赤谷さん(ルイ・パストゥール医学研究センター所属)より追加情報が入りました。 これまで以下の分析レポートに記載されている「グルコノバクター桿菌」として分析されていた菌は遺伝子分析を含む詳しい検討により、グルコノバクター属(Gluconobacter)ではなく、近縁のアセトバクター属(Acetobacter)に属することがわかったそうです。 したがって、報告中の「グルコノバクター桿菌」は、すべて「アセトバクター桿菌」もしくは「アセトバクター菌」と読み替える必要があるとのことでしたので、検査報告内容は全て書き換えました。

これまで「グルコノバクター」で知られていた空気を好む菌も、すべてアセトバクター菌と考えらるとのことです。また、名前が変わったからといっても、カスピ海ヨーグルトで、クレモリス菌の安定化に役立っているという役割に変わりはないとのことです。  



私の扱っているカスピ海ヨーグルトの株を、この分野では提出した3種類の検体にの検査結果のレポートは11枚に及ぶ非常に詳しい物の為、その概要をまとめましたので、参考にして 下さい。  この情報は全11ページの原本をSTEINが独自に要約したものであり、原本と記載内容が異なっている部分がありますこと御了解願います。

なお、この調査の検体は私が株分けしているヨーグルトと同じ方法で作り、同じ方法で発送した物ですが、この検査レポートは、私がこれまで及び現在株分けしている物の内容を保証 するものではありません。あくまで、提出したサンプルの検査を調べた結果のレポートとなります。 したがって、現在私が株分けした物は、このレポートに使われた検体とは状態が全く異なっている可能性もありますこと御承知置き 下さい。 

■提出したサンプルの内容
検体は2001/1に入手しこれまで私が増やし続けてきた株と、それを冷凍したあとに自然解凍してできた水分(乳清)、そして7月20日に入手した粘性が高い株の3種類です。 調査した結果、それらのデータは少しずつ異なっており興味深い結果となりました。

・検体 STA
  (STEINが常用している株)
・2001/01に入手しこれまで自宅で食し、株分けにも利用している物
・2002/07/21 朝8時頃牛乳と混ぜて、14時容器に詰めたもの
・検体 STB
  (STAの凍結融解液)
・2002/07/18にSTAを冷凍し、07/21午前に自然解凍したものの水分(乳清)
・水分と凝固分(白い粒粒)とのろ過にはリードキッチンペーパーをフィルターに使って実施した。
・検体 STC
  (比較用の粘性が高い株)
・比較用の粘性の高い株
・STEIN常用株よりも同環境下で粘性が高く硬めにできる
・2002/07/20に比較用として新しく入手した株
・2002/08/14以降の発送はこちらの株を主に使っております




  【STEIN所有のヨーグルト検査報告】                2002年8月5日  (菌名変更:2003/02/08)




  検体 STA  

 検体 STA (STEINが常用しているヨーグルト) 受取検体での菌数 2代継代した試料
での菌数
 ラクトコッカス・クレモリス     約2億個/g    約15億/g
 アセトバクター 約3400万個/g 約2000万/g
 ラクトバシラス乳酸桿菌 2種類
    90%以上 ラクトバシラス(1)    種不明
    10%未満 ラクトバシラス(2)    ラクトバシラス・プランタラムと推定
(1)と(2)合計
   約1000万個/g
(1)と(2)合計
   約1700万/g
 酵母    約1万個/g    約1000/g

2代継代はスキムミルクで30度の環境で実施しております。
アセトバクター桿菌はヨーグルトの表層と内部で菌数は異なります。検査は上から約1/3の部分を採取して行いました。
酵母数は少数で、植え継ぎ状況によっては消滅する可能性があります。
菌数は発酵温度や時間によって菌数は大きく変動します

ラクトコッカス・クレモリス
 
アセトバクター桿菌
 

ラクトバシラス乳酸桿菌(1)
 

 
ラクトバシラス乳酸桿菌(2) 酵母



  検体 STB  

 検体 STB (STEINが常用している株STAの凍結融解液) 受取検体での菌数 2代継代した試料
での菌数
 ラクトコッカス・クレモリス 分離されない   約19億/g
  アセトバクター桿菌  約200万個/g 約2000万/g
 ラクトバシラス乳酸桿菌      ラクトバシラス(1)   種不明 約2000万個/g  約6400万/g
 酵母    約2000個/g     約1万/g
 クレブシエラ      約200個/g    約120万/g

2代継代はスキムミルクで30度の環境で実施しております。
ラクトコッカス・クレモリスは分離出来ませんでした。
継代後にはクレモリス菌が十分増殖してきたので、元の検体には少数のクレモリス菌が生きていたと思われます。
ラクトバシラスはSTAのラクトバシラス(1)と同じです
STAで見られたラクトバシラス(2)(ラクトバシラス・プランタラムと推定)は検出されませんでした。
クレブシエラは大腸菌群とされますが、分離菌は44.5℃で増殖しなかったので、糞便性大腸菌群ではなく、環境中に広く存在する菌の一つ(すなわち雑菌)と考えられます。
クレブシエラは継代後には菌数が大幅に増加していたので、ヨーグルト中で他の菌と共存状態にあるようです。

 
アセトバクター桿菌
 

ラクトバシラス乳酸桿菌(1)
 

 
酵母
 
 クレブシエラ
 



  検体 STC  

 検体 STC (比較用の粘性の高いヨーグルト) 受取検体での菌数 2代継代した試料
での菌数
 ラクトコッカス・クレモリス    約3億個/g    約12億/g
 アセトバクター桿菌 約700万個/g 約2000万/g
 ラクトバシラス乳酸桿菌 2種類
    90%以上 ラクトバシラス(1)    タイプ種不明
    10%未満 ラクトバシラス(2)    ラクトバシラス・プランタラムと推定
(1)と(2)合計
  1000万個/g
(1)と(2)合計
約2200万/g
 酵母   約3000個/g  1000/g以下

2代継代はスキムミルクで30度の環境で実施しております。
ラクトバシラス・プランタラムの90%以上は種不明のラクトバシラス(1)タイプと思われます  
ラクトバシラス・プランタラムと推定されるラクトバシラス(2)は、STAのラクトバシラス(2)と区別出来ませんでした
酵母数は少数で、植え継ぎ状況によっては消滅する可能性があります。
 
ラクトコッカス・クレモリス
 
アセトバクター桿菌
 

ラクトバシラス乳酸桿菌(1)
 

 
ラクトバシラス乳酸桿菌(2)
 
酵母
 



  クレモリス菌における粘性物質  

ヨーグルト(STA)を種菌にしてスキムミルクを発酵させた物と、STB(凍結融解液)から作ったヨーグルトを種菌にしてスキムミルクを発酵させた物の、凝固直前の位相差顕微鏡写真です。

STAではクレモリス菌の周囲が白く抜けている物(写真右側)と、抜けていない物(写真左側)があります。白く抜けているのはクレモリス菌が作る粘性多糖体で、これが見えないのは粘性多糖体を作っていない菌だと考えられます。STAでは粘性多糖体を作っていない菌がかなり目立ったのに対して、凍結融解物から増やしたヨーグルト (STB)では大多数のクレモリス菌が粘性多糖体を作っています。 

このことが、凍結融解物から作ったヨーグルトで粘性が高くなる一因と思われます。おそらく、粘性多糖体を作らないクレモリス菌は作る菌よりも凍結融解で死にやすいのでしょう。

残念ながら今回の凍結融解液(STB)には雑菌(クレブシエラ)が混入していました。濾過など、雑菌が入りやすい操作はしない方がいいでしょう。
 

STAの凝固直前の位相差顕微鏡写真
 
STBの凝固直前の位相差顕微鏡写真
 

粘性の高いヨーグルト(STC)が他のSTA、STBと異なる理由

粘性の高いヨーグルト(STC)のクレモリス菌の粘性多糖体をヨーグルトに墨汁を混ぜて観察した写真です。墨汁を混ぜるのは、牛乳が凝固した後では写真のSTA,、STBのように直接粘性多糖体を見ることができないためです。ほとんどの菌の周辺は粘性多糖体で白く抜けています。黒い固まりは凝固した乳タンパクです。STCの粘性が高いのは、クレモリス菌が作る粘性多糖体の性質(たとえば分子量が大きいなど)によるのかもしれません。

STCのクレモリス菌の粘性多糖体

本報告の内容は2002年8月2日現在の知見に基づいています。今後、新たな知見によって内容は変更されることがあります。

 


 


以上が検査レポートを要約したものです。 この調査でご協力くださいました、赤谷さん(ルイ・パストゥール医学研究センター所属)有難うござました.。
 

この調査報告より、私が感じたことは次のとおりです。

カスピ海ヨーグルトといっても、各家庭で育てられているうちに、含まれている菌の内容が異なっている
クレモリス菌の中にも粘性多糖体を作る物と、作らない物が存在し、作らない物は冷凍に弱い
冷凍後、解凍した液(凍結融解液)からヨーグルトを再生すると、状態がよくなる事は今回の調査で実証出来た
凍結融解液を作る時に、濾過した工程で雑菌が入った事と予想される。 濾過しない方がが良いでしょう。
凍結融解液からはクレモリス菌を分離することが出来なかったにもかかわらず、2代継代でクレモリス菌が生のヨーグルト(STA)よりも多く分離出来るということは、クレモリス菌の繁殖能力はすばらしい物である。

 


また、このレポートに関して私に問い合わせされても私自身はこういった研究分野には素人の為、お答えできません。
御了解のほどお願いいたします。

 



 

 

 

 
 
 
 

  

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送